監査で使えるコネタ製作所

ある東海地方の会計士試験合格者が見つけた監査に役立つコネタを書き綴ります…

現物の寄付を行った場合の会計上及び法人税法の取り扱い

1.質問事項
 私の会社は近所の少年団へ、飲料水を寄付することを検討しております。このとき用いる勘定科目について教えてください。
 なお仕入先は問屋であり、掛仕入をしているため飲料水そのものの領収書はありません。また当該取引は、寄付に該当し宣伝目的で行うものではありません。

 

2.回答事項
① 会計処理について
 おたずねの取引は、以下の通り仕訳を行うものと考えられます。
(1)仕入
(借方)仕 入 ××× (貸方)買掛金 ×××
(2)寄付時
(借方)寄付金 ××× (貸方)他勘定振替高 ×××

② 決算書上の表示について
 損益計算書上、売上原価の部に「他勘定振替高」を表示します。

③ 法人税法上の取り扱いについて
 当該寄付金は国等あるいは特定公益増進法人などに対する寄付金ではないため、一般寄付金に該当します。したがって、法人税法上他の一般寄付金と合計し、一定限度額以上を超える部分は損金に算入されないことに留意してください(法人税法第37条1項)。
 領収書の取り扱いですが、当該寄付金は一般寄付金ですから、少年団へ寄付した際、相手方から何らかの書面を受領する必要はありません。

 

3.解説
 寄付金とは「内国法人が」する「金銭その他の資産または経済的な利益の贈与または無償の贈与」をいいます(法法37条7項)。また「広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く」とされています(同法同条同項括弧書き)。本事案では、当該取引が寄付金に該当するか、広告宣伝費に該当するかが論点となります。
 広告宣伝費に該当するか否かについては、「その支出の対価として提供された役務が,客観的にみて,その受け手である不特定多数の者に対し当該法人の事業活動の存在又は当該法人の商品,サービス等の優越性を訴える宣伝的効果を意図して行われたものであると認められることが必要」と下級裁判決が出ています(東京地判)。
 本事案では、そもそも相談者が「宣伝目的で行うものでは」ないとしています。また飲料水を仕入れた先が問屋であることから、飲料水へ何らかの宣伝的効果を付加することはされないと考えられます。これらの事情を踏まえれば、飲料水の提供が宣伝的な効果を有しているとは、客観的に見ておよそいえません。
 広告宣伝費の要件に該当しませんので、寄付金の検討を行うこととなります。とはいっても飲料水という「その他の資産」を「無償の贈与」で少年団へと渡していますから、容易に寄付金に該当することがわかります。
 したがって、本事案では法人税法上の寄付金に該当し、支出先が国等ではないことから、一般寄付金として取り扱うこととなります。

 

4.元ネタ

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp